AXC原理|共通の排除対象が利害を結びつける原理
人は、
信頼によって、
結びつくことがある。
同じ願いを持つ。
同じ目的へ向かう。
互いの違いを認める。
相手の力を尊重する。
そこには、
共に何かを生み出そうとする、
関係がある。
だが、
人が結びつく理由は、
信頼だけではない。
共通して、
気に入らない人がいる。
自分の立場を、
脅かすと感じる人がいる。
遠ざけたい人がいる。
その相手を、
排除したいという利害が、
一致することがある。
すると、
互いを信頼していなくても、
協力関係が生まれる。
相手を尊重していなくても、
同じ側に立つことがある。
恐れている相手に、
迎合することさえある。
自分ではできない攻撃を、
他者に委ねる。
他者の攻撃を、
止めずに利用する。
相手の力を借りて、
自分の望む結果を、
得ようとする。
そこにあるのは、
必ずしも信頼ではない。
利害である。
そして、
利害によって結びついた関係は、
一見すると、
強い結束に見えることがある。
同じ人を批判する。
同じ噂を共有する。
同じ相手を避ける。
同じ行動を繰り返す。
周囲から見れば、
仲間に見える。
だが、
共通の排除対象がいることは、
互いに信頼があることを、
証明しない。
排除対象が変われば、
その関係も、
変わることがある。
かつての協力者が、
自分にとって、
都合の悪い存在になる。
過去の行動を知っている。
自分の言葉を覚えている。
共に行ったことを、
知っている。
その存在が、
自分の責任を、
思い出させることがある。
すると、
かつての協力者が、
新たな排除対象へ、
反転することがある。
あの人に、
言われてやった。
あの人に、
利用された。
自分は、
本当は望んでいなかった。
過去の出来事が、
新しい説明によって、
書き換えられていく。
もちろん、
実際に強要され、
利用された人もいる。
だから、
その訴えを、
最初から虚偽だと、
決めつけてはならない。
だが、
共に行った行為について、
誰が何を選び、
何をしたのかを、
検証しなければ、
責任は、
一人へ押しつけられることがある。
自分の責任を、
相手の責任へ移す。
かつての加害を、
自分が受けた被害として語り直す。
そして、
相手を非難することで、
自分の正しさを、
証明しようとする。
そこでは、
排除の対象が変わっても、
排除するという行動だけが、
続いていく。
さらに、
新しい協力者が、
求められることがある。
自分に代わって、
攻撃する人。
強い言葉で、
相手を威圧する人。
周囲へ、
噂を広める人。
だが、
他者の攻撃力を利用することと、
その力を制御できることは、
同じではない。
利用する側も、
その力を恐れていることがある。
だから、
迎合する。
機嫌を取る。
相手の行動を、
止められなくなる。
信頼のない結託は、
互いへの恐怖を、
抱えたまま成立することがある。
そして、
排除の理由が、
検証されなくなれば、
攻撃対象は、
さらに広がることがある。
あの人と、
親しいから。
あの人と、
つながっているはずだから。
あの人の、
味方に違いないから。
本人が何をしたかではなく、
誰と関係があると見なされたかによって、
排除の対象が、
決められていく。
推測が、
事実として扱われる。
関係が、
責任として扱われる。
そして、
誰かを排除するための協力が、
次の排除を、
生み出していく。
だが、
人は、
過去の行動だけで、
固定されるものではない。
加害に関わった人が、
自分の責任を認めることもある。
過去を悔やみ、
別の生き方を、
選ぶこともある。
その責任は、
消えない。
しかし、
その人が過去に加害へ関わったことは、
新たな加害を受けてよい理由には、
ならない。
また、
自分の非を認めた人に、
他者の責任まで、
負わせてよいわけでもない。
責任は、
それぞれの主体へ、
返さなければならない。
本来、
人が協力する力は、
何かを生み出すためにも、
使うことができる。
誰かを支える。
問題を解決する。
異なる力を生かす。
新しい関係を築く。
だが、
排除を目的に結びつけば、
その力は、
人を遠ざける方向へ、
働くことがある。
共通の敵が、
いなくなったとき、
その関係を支えるものが、
残らないこともある。
だから、
問わなければならない。
何のために、
結びついているのか。
何を、
共に守ろうとしているのか。
誰かを排除しなくても、
その関係は、
成り立つのか。
信頼による結束は、
互いの主体を、
支えようとする。
排除による結託は、
互いの利害が、
一致している間だけ、
成立することがある。
共通の排除対象は、
人を結びつけることがある。
だが、
その結びつきは、
信頼を証明しない。
そして、
排除によって維持される関係は、
かつての協力者さえ、
次の排除対象へ、
変えてしまうことがある。
人を結びつける力の質は、
誰と共にいるかだけでは、
分からない。
何のために結びつき、
その関係によって、
何を生み出しているのか。
そこに、
結束の本質が現れる。

まだ応答なし