AXC原理

AXC原理|指示の絶対化が現場の判断力を奪う原理

組織には、
目的がある。

目的へ向かうために、
計画を立てる。

行程を組む。

役割を決める。

指示を出す。

それらは、
人が共に動くために、
必要なものである。

だが、
計画は、
現実そのものではない。

指示は、
現場で起きるすべてを、
予測できるものではない。

予定外のことが起きる。

相手の反応が変わる。

時間がずれる。

人が足りなくなる。

思い違いが起きる。

判断に迷うこともある。

それは、
現場に能力がないからとは、
限らない。

現実には、
事前の計画だけでは、
捉えきれないものがあるからである。

だから、
現場には、
判断する余地が必要になる。

だが、
指示を出す人は時に、
自分の指示を、
絶対化する。

言われた通りにやれ。

勝手に判断するな。

必ず確認しろ。

なぜ確認しなかった。

そうして、
現場の判断を、
制限する。

だが、
現場では、
確認を待てないことがある。

その場でしか、
判断できないことがある。

指示を出した人には、
見えていない現実がある。

それでも、
指示を守ることが、
目的になれば、
現場は、
現実よりも、
指示を優先するようになる。

問題に気づいても、
動けない。

別の方法が見えても、
選べない。

相手の事情が分かっても、
対応を変えられない。

そして、
結果が悪ければ、
なぜ対応できなかった。

なぜ確認しなかった。

なぜうまくできなかった。

そう責められる。

だが、
判断する権限を、
与えられていなかった人に、
判断できなかった責任を、
すべて負わせることはできない。

指示を出すことには、
責任が伴う。

その指示が、
現場で実行できるものなのか。

何が難しいのか。

どこで判断が必要になるのか。

どこまで、
現場に任せるのか。

それを、
考えなければならない。

現場を知らないなら、
自分で経験する。

経験できないなら、
現場の人に聞く。

自分の知らないことを、
知らないまま、
絶対化してはならない。

だが、
現場が対応できないことを、
現場の能力不足だと決めつければ、
指示は、
さらに細かくなる。

確認が増える。

禁止が増える。

判断できる範囲が、
狭くなる。

そして、
現場は、
ますます判断できなくなる。

こうして、
指示を守らせるための管理が、
指示なしでは動けない現場を、
作っていく。

本来、
指示とは、
人の判断を奪うためのものではない。

目的を共有し、
必要な情報を渡し、
共に動けるようにするためのものである。

守るべき境界線は、
明確にする。

安全を守る。

法令を守る。

他者の尊厳を守る。

そのうえで、
現場で判断できることは、
現場へ返す。

判断に迷えば、
相談できるようにする。

相談できない時にも、
何を守るべきか、
考えられるようにする。

そして、
最後には、
自分の良心に問い、
責任を持って、
判断できる人を残す。

良心に従うことは、
何をしてもよいということではない。

自分の判断が、
他者を傷つけていないか。

目的から外れていないか。

守るべきものを、
見失っていないか。

自分自身に、
問い続けることである。

優れたリーダーは、
すべてを指示する人ではない。

全体を理解し、
現場の難しさを知り、
自分の知らない現実があることも、
認められる人である。

だから、
現場の判断を、
尊重できる。

必要なら、
自分の計画も、
修正できる。

指示を絶対化する組織は、
現場の失敗を防ごうとして、
現場が失敗を回避する力まで、
奪ってしまう。

指示は、
現実を支配するために、
あるのではない。

現実の中で、
人が目的へ向かえるようにするために、
ある。

現場の判断を奪った者は、
現場が判断できなかった責任を、
現場だけに負わせてはならない。

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